ヒアルロン酸の働き

ヒアルロン酸は細胞の外で活躍する

ヒアルロン酸細胞

細胞どうしをつなぐ「マトリックス」
ヒアルロン酸は私たちの身体の中にたくさん存在しています。身体のどこに存在するかというと 「細胞外マトリックス」と呼ばれる部分です。 人の身体は約60兆におよぶ細胞でできていてそれらの細胞が全身の組織を形づくり、各々の場所に応じた働きをして生命活動の基盤を支えています。 例えば、心臓が規則正しく鼓動を打つのも、肺で絶えず酸素二酸化炭素の入れ替えが行われるのも、あるいはものを考えたり判断出来るのも、全て 細胞の活躍によるものです。 しかし、これらの細胞どうしは互いに直接つながっているわけではありません。レンガの壁を作る時、その隙間を埋めるセメントが必要なように、細胞と 細胞の間には、互いをしっかりつなぐための組織が存在しています。それが細胞外マトリックスです。

ヒアルロン酸レンガ壁

体のしなやかさを生む原動力
細胞外マトリックスが、レンガ壁のセメントと異なるのは、まず第一に柔軟性に富んでいる点です。 もしも、細胞外マトリックスがセメントのように固ければ、体の動きはロボットのようにぎこちなくなるし、全身に血液をめぐらすことや、 呼吸をすることさえままならなくなります。 私たちの体や組織が、しっかりとした形を保ちながらしなやかな弾性を備えているのは、柔軟な細胞外マトリックスの存在があるからです。
細胞を脇で支える立役者
第二に、レンガ壁のセメントは単なる接着剤にすぎませんが、細胞外マトリックスは、細胞の働きにも深く関与しています。 そもそも細胞は、一つ一つが独立して働いているわけではなく、絶えず隣同士で連絡を取り合い、助け合って活動しています。 また、細胞自身が生きていくには、随時、他から栄養を補給したり、老廃物(ゴミ)を回収してもらう必要があります。 実はこうした細胞どうしの連絡や、細胞内への物質の出入りも、全て細胞外マトリックスが管理しているのです。 細胞外マトリックスは、細胞にうよって作られます。しかし、いったん作り出された細胞外マトリックスは、今度は逆に、細胞を養ったり、その機能を 脇で支える土壌として働くのです。

美容と健康の鍵を握る「ムコ多糖」

ヒアルロン酸はムコ多糖の代表
ヒアルロン酸が存在する細胞外マトリックスについてもう少し詳しくみてみましょう。 細胞外マトリックスはコラーゲン(繊維状たんぱく質)と糖たんぱく質、そして「ムコ多糖」の3つでできています。 これらの関係を家屋に例えて説明するなら、家を支える柱がコラーゲンで、コラーゲンの柱をしっかり固定する釘の役目が糖たんぱく質、 そして家屋のなかで仕事をしている住人が「ムコ多糖」といったところです。 つまり細胞外マトリックスの働きを実質的に担っているのはムコ多糖であり、ムコ多糖の代表がヒアルロン酸です。 ムコ多糖の「ムコ」はラテン語のmucusに由来し、これはネバネバした液体を意味します。一方多糖というのは、ブドウ糖などの単糖が10個以上つながったもの。 すなわち、単糖がたくさんつながった粘り気のある物質をムコ多糖というのです。
ムコ多糖は肥満と無縁の「糖」
飽食の現代では、糖は肥満を促す元凶とされています。 しかし、糖とひと口にいってもいろいろ種類があって、肥満につながるのは、その一部にすぎません。 多糖に限っていうと、例えば私たちの体の中に存在する多糖は次の二種類に分けられます。 一つは、体の栄養源として貯えられる「貯蔵多糖」で砂糖などを食べたときに体内でつくられるグリコーゲンがそうです。そしてもう一つは細胞外マトリックスの中に存在し、 体の構成成分となる「構造多糖」。ヒアルロン酸をはじめとするムコ多糖は、こちらに属します。  このうち、肥満の原因となるのは、貯蔵多糖のグリコーゲンで、構造多糖のムコ多糖は、体の中にいくらあっても肥満につながる心配はありません。  それどころか、ムコ多糖が体内にたくさんあるほど、骨や内蔵、筋肉といった全身のあらゆる組織が充実し、不健康な肥満とは無縁の、ゆるぎない健康がつくられます。  ムコ多糖にもいくつか種類がありますが、そのなかでも特に美容と健康を保つキーワードとして今最も熱い視線を注がれているのがヒアルロン酸なのです。

驚異の「保水力」が効果の決め手

地球上で最もすぐれた保水物質
ヒアルロン酸の働きで最も特筆すべきは、その強い保水力です。  人をはじめ、地球上のあらゆる生命体は、水の存在なしでは生命活動が成り立ちません。水を失うことは、そのまま生命を失うことにつながります。 そこですべての生物は体内に水を保つための物質を備えています。植物ではセルロース、昆虫や甲殻類はキチン、細菌類は細菌細胞壁、といった具合です。  一方、人類を含む脊椎動物が、進化の過程で獲得した、地上に存在する最もすぐれた保水物質がヒアルロン酸です。

ヒアルロン驚異の保水力

1gで6kgの水を保持できる
ヒアルロン酸は自らの重さの6千倍もの水を抱え込む力があります。つまりたった1gのヒアルロン酸で6kgの水を保つことができるのです。kのような物質は他に存在しません。  しかも、ヒアルロン酸の保水力は、温度や湿度といった環境因子に左右されることなく、安定しているのも大きな特徴です。これは、ヒアルロン酸が「2次結合」(図参照) という形で水を抱えていることによります。

肥えた土壌には元気な作物が育つ
ヒアルロン酸の驚異の保水力は、全身の細胞の活性化に欠かせないものです。  なぜなら、血液を介して細胞外マトリックスへ届いた酸素や栄養は、ヒアルロン酸の抱えるネバネバした水分を水路にして各細胞へ運ばれるほか、細胞の出す老廃物を 血管まで回収するときも、同じヒアルロン酸の水路が使われるからです。肥えた土壌に元気な作物が育つように細胞外マトリックスにヒアルロン酸が豊富にあれば、細胞はいつも元気に働けるわけです。